臨床検査技師はいらない、とか、いらなくなるって言われるのをたまに聞くけど、本当かな?将来性について考えた方がいいのかな?
という悩みを持つ検査技師さんや検査技師候補さんがいると思います。
現役検査技師の私から言わせると「肌感覚で、まだまだ必要だと思ってますが?」が結論です。
とはいえ、臨床検査技師はいらない、と言われる理由もわからないでもないので、今回はどうしていらないと言われてしまうのか、ちょっと考えてみました。
臨床検査技師がいらないと言われる理由
- 独占業務ではない
- AIにとってかわられる可能性があるから
臨床検査技師の必要性
- 生理検査の全ては機械化できない
- 検体検査も人の手が必要
- チーム医療としての役割がある
臨床検査技師の強みは柔軟性 看護師不足を補う役割も担える部分がある
スキルアップや企業への転職で安定性ゲット
臨床検査技師がいらないと言われる理由
そもそもなぜ臨床検査技師がいらないと言われるのか、理由について考えてみますね。
私が思うに、大きな理由は以下の2つかと。
- 独占業務ではない
- AIにとってかわられるから
独占業務ではないから臨床検査技師はいらない?
そもそも臨床検査技師の資格って、独占業務ではないのです。
例えばレントゲン技師は放射線を使用できるけど、看護師や検査技師はできません。
看護師は採血の他に注射や点滴ができるけど、検査技師は採血しかできません。
超音波検査も、検査技師だけではなく、放射線技師もできます。
検体検査にいたっては、すでに患者さんから採取された後だから、極端な話を言えば、別に資格がなくても…
AIができるから臨床検査技師はいらない?
そして、AIによってなんでも自動化されて臨床検査技師の仕事は奪われる、という説。
確かに採血後の検体検査などは機械化しやすい分野ですよね。採血管のラベルを読み取ってそれぞれの検査を実施して、結果を出す。パニック値があれば緊急報告を作成する。
確かに、こんな一連の動作は人の手が無くてもできますが…
ざっくりいうと、こんな理由で臨床検査技師はいらない、今後いらなくなる、将来性がない、なんて言われてしまうのでしょう。
でも、本当にそうでしょうか?
臨床検査技師の必要性は
正直、実際に現役で臨床検査技師をしている私は今のところ「臨床検査技師って将来消滅するだろうな」と感じたことはありません。
理由は以下の通り。
- 生理検査の全ては機械化できない
- 検体検査も人の手が必要
- チーム医療としての役割がある
生理検査の全ては機械化できない
生理検査は機械化しにくいですよね。
例えば肺活量。機械が「吸って~吐いて~」と声掛けする機械を実際使ったことがありますが、若い方ならともかく、お年寄りにはちょっと無理でした。
肺活量検査では患者さんの様子を見ながら的確に声掛けしないと正確なデータは取れません。
機械では、患者さんの呼吸のタイミングを見たり、吐くときに口が開いてしまっていたり、ということに気付いて対処できませんよね。
技師がタイミングよく「吐いて、吐いて、まだ吐ける~最後まで!」なんて自分のほうが酸欠になりそうな声掛けをするから患者さんも吐ききれる。
機械ののんきな声では無理なのです。
検体検査も人の手が必要
検体検査にしても、やっぱり人の手は必要です。
パニック値などもこれ以上の数値が出たら報告すること、なんて基準を設定することはできます。でも、実際には検査結果は一つの数値だけで読むものではありません。
緊急報告すべきかどうかなどはデータ全体から判断すべきです。
そもそもそのデータが正確に検査されたものか、凝固や溶血、機械のエラーなどの影響を受けていないかなど、人の目が必要だったりします。
検体検査でも、微生物や病理検査になれば、さらに人の目や手、熟練の知識や感覚が必要になります。
チーム医療としての役割
臨床検査技師にはチーム医療の一員としての役割もあります。
例えば感染対策。微生物学を学んでいるので、チーム医療の中心となって院内の感染対策に取り組むことができます。
また、針刺し事故などが発生した場合にも、対象となる患者さんと医療従事者に対して適切な検査を実施する役割も。
検査結果に緊急性がある場合は迅速に判断して医師に伝える、など検査技師にはチーム医療における役割が色々あります。
臨床検査技師の将来性は?
では、結局、臨床検査技師の将来性はどんな感じなのか?
臨床検査技師としてずっとのんきに働いていても大丈夫かな?というところが一番知りたいところですよね。
同じように女性の多い医療職である看護師さんはいつの世も将来安泰、と見られるのに臨床検査技師はなぜ将来性を不安視されるのか。
臨床検査技師特有の弱みがあるからかな、と私は思っています。
そして同時に強みもあると、思っていますが。
臨床検査技師の弱み
検査技師の弱みは以下の点かと思います。
- ほぼ全ての規模、科の病院に看護師は必要だが、独占業務のない検査技師は必要ない現場もある
技師の業務は看護師や放射線技師が代わりにできることが多いので、小規模病院やクリニックでは必要とされないこともしばしば。
だから当然看護師さんより求人は少なくて、就職難のイメージがある。
さらに安定した職場ならあまり辞める人もいないので大きな病院の求人は確かに少ない。
必要とされる場所に偏りがあるので地域によってはさらに就職難だったりします。
実際私も、臨床検査技師の転職は求人が少ないから難しいだろうと思い込み、転職に大失敗したことがあります。まあ、地域差はあるものの、実際はまあまあ求人はあるのですが。
その辺のことはこちらの記事で。臨床検査技師の転職は難しい?体験から学んだ失敗しない3つのコツ
ただ、私は臨床検査技師には強みもあると思っています。
臨床検査技師の強み
臨床検査技師は検査の専門知識を持ったエキスパートとして、そのスキルが売りの資格です。検体系も生理系も、信頼できる検査結果を必要とする医療の現場での役割はまだまだ需要があります。
そして、独占業務がない代わりに業務内容の柔軟性が強みかと思います。
厚生労働省の看護師等(看護職員)の確保を巡る状況によると
看護師の人材不足が今後さらに深刻化すると言われています。
看護師にしかできない仕事がある一方で、臨床検査技師でも対応できる業務もあります。
例えば、今は予防医学への注目が高まり、健診センターでの求人が増えています。
健診センターでの業務は、身長・体重・視力聴力・心電図・採血がメイン。場合によって、そこにエコーや眼底写真・肺活量・胃カメラなどが入ります。
技師ができる仕事ばかりですよね。検査技師は看護師と協力して今後の医療を支える役割ができると思います。
このように、臨床検査技師には強みもしっかりありますよ。
小規模病院やクリニックでも看護師不足は深刻です。実際、私もクリニックで正職員として働いています。メイン業務はエコーですが、手が空いている時は採血や胃カメラ、診察補助など、看護師さんと協力しあって働いています。
臨床検査技師の仕事がなくなる、もういらない、なんてことはないと感じていますよ。
まあ、本当に臨床検査技師がいらないなら、そもそも専門の資格自体できていないし、色々進歩した現在、本当にいらない資格ならとっくに消滅してますよね。
でも、なんとなく将来に漠然とした不安があるんだよな…
という方は、自分が進化することを考えると良いと思います。
臨床検査技師が将来に向けて意識すること
なんとなく将来が不安、という場合は以下のことを意識しておくと良いかと思います。
病院以外の職場も視野に入れ、スキルアップをはかる
例えば病院勤務にこだわるなら超音波検査士の資格はぜひ取りたいところ。
そして今は晩婚化などに伴い胚培養士なども検査技師の転職先によくあがってきます。胚培養士では認定臨床エンブリオロジストや生殖補助医療胚培養士などの資格を取ることでスキルアップもかないます。
特に病院勤務にこだわらないなら、安定した企業への転職も視野に入れることができますね。
アプリケーションスペシャリストや治験コーディネーターの求人もありますし、検査センターで病理の専門家であるサイトスクリーナーの資格を取るなど。
将来性のあるスキルを身に付けるためには部署異動や転職も必要になるかもしれません。転職する場合は技師専門の転職サイトを利用すべきです。技師の仕事内容を理解していないと求人側とのミスマッチがおきやすいからです。技師専門の転職サイトなら未公開の求人情報も多くあります。同じスキルを持っている人はたくさんいます。素早く情報をキャッチし、すぐに応募するためにも、技師専門の転職サイトがおすすめです。
- メディカル技師ワーカー(MT) 手厚いサポート
- レバウェル医療技師(MT) 未公開求人多数
- 検査技師人材バンク メールやLINEで新鮮な情報がすぐに届く
臨床検査技師の未来は決してくらいことばかりではないと思います。
それでも漠然とした不安があるなら、キャリア相談サービスを利用する手も。
リーズナブルな価格で心理カウンセラーなどのプロに相談することも、登録者同士で話合えるタイプのものもありますよ。おすすめキャリア相談サービスと活用法【無料も有料も】
仕事の不安やストレスって、単に愚痴を聞いてもらうだけでもスッキリするものですよねw
【まとめ】臨床検査技師はいらない、なんてことはない
以前、同期に「どうして臨床検査技師になったのか」と聞いたことがあります。
みんな「医療の資格があれば、ずっと安泰かと思って」というようなことを答えていました。
「ではなぜ看護師ではなく臨床検査技師だったのか」と聞くと、以下の答えが。
- 夜勤など体力に自信がなくて
- 患者さんと深くかかわらなくてすみそうだから
など。私たちの代はなぜか例年に比べて極端に求人が少なかったのですが、みんな「こんなに求人が少ないとは思わなかった」となげきつつも全員しっかり就職できました。
その後はずっと退職せず働いている人も、転職しても臨床検査技師を続けている人もいます。企業に転職した人もいるし、医療とは別のまったく違う業界で活躍している人もいます。
でも、これってどんな職業でも同じですよね。資格をとっても一生転職しない人もいれば全く別の道に行く人も。
特に検査技師だけが将来性に不安があるわけではないですよね。
機械にとってかわられると言われている職業だって、昔からたくさんありますが、やはり人が必要な部分は残っていますよね。確かに必要人員数が減ったりはしているかもしれませんが、例え優れた機械が開発されても、高価な機械がすべての職場に入るのはいつになるやら。
だから、無駄に心配する必要はありません。今後はスキルアップや視野を広げておけば、よりいっそう仕事に集中し、安心して働けると思いますよ。
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