臨床検査技師として働いているけど、転職を考えています。
でも、どんなところに転職すればよいのか悩んでいます。
そもそもどんな転職先があるのかもよくわかりません。
求人は少なそうだし、難しいのかな…
こんな悩みを抱えている臨床検査技師の方は多いのではないでしょうか。
私は技師歴20年以上の現役臨床検査技師です。転職に大失敗したことも、大成功したこともあります。
この記事では、私の経験や同期の技師から得た情報などを中心に、臨床検査技師のおすすめの転職先をご紹介しますね。
とはいえ同じ臨床検査技師でも、転職先に求める条件は様々だと思います。
この記事では、メリットデメリットや職場ごとの特徴、どんな人におすすめなのかを解説しますね。
私自身、転職で大失敗してすぐに辞めてしまい、とても落ち込んだ経験があります。私のような失敗をする人が少しでも減るといいな、と思っています。できるだけわかりやすくご紹介しますね。
少し細かすぎる情報もあるかもしれませんが…
- 裏技的にエコー経験を積むなら健診センターや小規模病院・クリニック
- パートで働いても社会保険に入れてもらえるパターンもある
- 企業で働く道もある
- 1つの分野を専門的に学びたいなら検査センターや胚培養士
- 臨床検査技師の転職先はけっこうある!
転職先ざっくりまとめ
それではさっそくどんな転職先があるのか、ざっくり表にしてみます。その後、1つ1つの転職のしやすさや仕事内容をご紹介しますね。
大規模病院 正職員 | 新卒採用が多く中途採用は困難 |
大規模病院 非常勤 | 中途採用もあるが安定しているので離職率は低い |
中規模病院 | タイミングがあれば求人はあるがエコー経験者などスキルを求められがち |
小規模病院やクリニック | 求人はあるが、パート求人や一人技師で休みがとりにくいなど懸念点も |
健診センター | 求人は増えている。出張健診があると残業や早出もある |
検査センター | 求人はある。部署によってはスキルアップも。夜勤や転勤の可能性も |
治験コーディネーター | 求人はある。高いコミュニケーションスキルが必要 |
アプリケーションスペシャリスト | 求人はある。スキルアップの可能性も。コミュニケーションスキルが必要 |
胚培養士 | 求人は多い。経験を積み資格を取ることもできる |
大規模・中規模病院
大規模・中規模病院への入職は新卒が有利ですが、中途採用が全くないわけではありません。
非常勤での雇用もあります。
非常勤はボーナスがないだけで月収はそれほど低いわけでもなく、安定性があるのがメリット。
部署異動もあり、経験値を積むことも可能です。
ただ、安定しているので離職率が低く、転職にはタイミングと運が必要。
小規模病院・クリニック
求人はけっこうあります。ただ、エコー経験者やパートでの求人が多いようです。
また、正職員でも技師一人の職場も多く、休みがとりにくいなどの懸念点もあります。
さらに、医師が院長一人で自分よりも高齢の場合、いつまで働けるのかという懸念点も。ただ、法人化していたり、後継者が決まっている場合はそれほど問題にはなりません。
一つだけ注意が必要なのは、レントゲン設備はあるが、レントゲン技師がいない場合、看護師や検査技師に撮影させる施設がごくまれにあること。私が以前休日当番医にかかった時、そこの事務長がX線撮影していました…。私の同期もそれが嫌で転職した人がいます。撮影準備までは看護師や検査技師がしても、撮影は医師がする病院が大半ですが、一応紹介しておきますね…
健診センター
予防医学への注目が高まり、健診センターでの求人は増えています。
健診センターで出張健診をしている施設の場合は残業や早出がある場合も。出張部門が別にある場合は、ほぼ毎日定時帰宅が可能です。経験が積みにくいイメージがあるかもしれませんが、内科をかねている施設もあります。一般的な健診に限らず、特定の職業の方向けの特殊な検査をしている健診センターもあり、意外と働き方は多種多様なので、自分の条件と合致しているのか、確認が必要です。
検査センター
検査センターの求人もけっこうあります。経験者ではない求人もあり、研修制度が充実している求人もあります。
病理検査や微生物など、自分の希望する部署に配属されるとは限りませんが、サイトスクリーナーなどスキルアップのチャンスはあります。
また、準夜勤や夜勤などもあります。病院のラボへ出向する場合もあり、意外と様々な働き方があるので確認が必要。
治験コーディネーター
治験コーディネーターは治験がスムーズに進行するように調整するお仕事です。医療スタッフ、製薬会社、患者さんの間のスケジュールを調整したり、書類の作成などがメインになります。そのため、高いコミュニケーションスキルと事務能力が求められます。複数の医療機関への異動や時間外のトラブル対応など、ワークライフバランスが崩れがちな職場と、大企業が母体であればしっかり時間通りのお休みがとれる職場など、多種多様なようです。
いずれにせよ最初は研修があるとはいえ、薬剤知識やビジネススキルなど、かなり勉強が必要。
アプリケーションスペシャリスト
アプリケーションスペシャリストはざっくり言うと、医療機器メーカーの営業サポート、という感じです。例えば病院にエコー機器を導入する時に、その機械の良さがしっかり伝わるようにデモンストレーションをします。そして導入後には、使いやすいようにその施設に合った画像調節をしたり、カスタマイズをしたり、など。
企業所属なので研修制度や福利厚生が充実していたり、年収が良かったりなど、メリットも多い職業です。
仕事内容的に、診療時間後の作業が多いので帰宅が遅かったり出張が多いなどのデメリットも。また、やはりもともとその機器への知識が豊富な人材の方が転職には有利とも言えます。
胚培養士
晩婚化などの影響で不妊治療に不可欠な胚培養士の求人が増えています。胚培養士のお仕事は、ざっくり言うと受精卵のお世話。集中力、注意力の必要な、とても責任の重い、やりがいのあるお仕事です。経験を積むことで日本卵子学会が認定する生殖補助医療胚培養士と生殖補助医療管理胚培養士、日本臨床エンブリオロジスト学会が認定する臨床エンブリオロジストなどの資格を取り、スキルアップすることも可能です。
タイプ別おすすめの転職先
それでは目的別のおすすめ転職先を紹介していきますね。
地域差やタイミング、運も関係するとは思いますが、求人はあります。色々な可能性も考慮に入れて、柔軟に考えるのが、転職成功のコツですよ。
エコー検査に携わりたいなら
今後も臨床検査技師として臨床の場で活躍したい、と思う方ならエコーの技術は習得したいスキルですよね。ただ、エコー業務の中途採用はどうしても経験者が求められます。中途採用でエコー未経験可、という求人はなかなか見つからないのが現状。ずっと待つのは非効率的です。エコー経験を積めるなら多少の妥協はできます、という方向けの少し裏技的なおすすめになってしまうかもしれませんが、ご紹介しますね。
健診センター
エコー経験者優先の求人が多いなか、私がおすすめするのは健診センターです。
健診センターでの業務は身長体重・視力・聴力・採血・心電図などの基礎的な内容に加えて肺活量・眼底写真・胃カメラなど。これらの他にオプションや人間ドックでエコーなどが入って来るので、ほとんどの施設は腹部や甲状腺、乳腺エコーを実施しています。
そしてエコー以外の業務は看護師と一緒にこなすことも多く、人手不足の健診センターでは看護師のかわりに検査技師を募集する場合もあります。
健診センターでは食事抜きでする検査が多いことから午前中が忙しく、午後は比較的暇なこともあります。このタイミングでエコー業務を教えてもらえる可能性があります。
実際、私が健診センターで働いていた時は、私は腹部エコーしかできなかったので、暇な時間に乳腺エコーなどを教えてもらっていました。
今は腹部エコーしかできないが、今後他の領域も勉強したい、という方にもおすすめです。腹部エコーを武器に健診センターに入職し、乳腺や甲状腺エコーも学べると、その後の職歴の幅が広がりますよ。
今は健診領域の超音波検査士もあるので、スキルアップも可能です。
もしも健診センターにいながら消化器などの超音波検査士を取りたいなら、症例数が心配ですよね。健診センターは基本的に健康な人が多いので、悪性症例数が集まりにくい。その場合は医師同士や先輩同士のネットワーク、超音波検査学会を通じて紹介してもらった他施設への研修で症例を集めると良いかと思います。私が以前勤めていた病院にも健診センターから先輩繋がりで研修に来ていた人がいましたよ。
中規模・小規模病院やクリニック
中規模・小規模病院でも欠員が出た場合、中途採用することはあります。エコー経験者優遇の場合でも、「心電図など他の生理検査はできるので即戦力になれます!」を売りにして、さらにエコーも必死に学びます、という売り込み方ならうまくいく場合もあります。実際私が以前出産退職する時には私の後釜を新卒と中途採用両方を面接したこともありました。
また、クリニックなどでは募集してもなかなか看護師が見つからない施設も多くあります。例えば内科のクリニックであれば、採血や心電図、内視鏡などの、看護師でも検査技師でも可能な業務内容のことが多くあります。もしそのクリニックでエコー検査が行われているなら「看護師さんと同じ業務をこなすので、エコーにも携わらせてください」と売り込むのです。内視鏡の経験も積める可能性大ですよ。
患者さんとかかわるのが苦手なら
患者さんとかかわるのが苦手という方でも、理由は人それぞれかと思います。
- 患者さんとうまくコミュニケーションがとれない
- 腰痛もちなので高齢患者さんを抱えたりがつらい
- 患者さんと仲良くなってしまいお別れが精神的負担になる
- 威圧的な患者さんが苦手
など、その理由によっておすすめの転職先もかわってきます。
検査センター
検査センターは患者さんと関わらずにお仕事ができる職場です。運ばれてくる検体を相手にするので。
ただ、もちろん同僚とのコミュニケーションは必要ですし、院内ラボへ出向になれば当然出向先のスタッフとのコミュニケーションは必要になります。ただ、病理や微生物などの専門知識を身に付けたり、サイトスクリーナーの資格を取得するチャンスもあるのが魅力。専門分野は経験者優遇のセンターが多いですが、なかには初心者でも研修してくれるところもあります。
アプリケーションスペシャリスト
検査機器の営業サポートや導入後のケアをするのがお仕事なので、患者さんと関わることはほぼありません。ただ、職場の同僚や、医療職の人とのコミュニケーションは必要です。相手の求める内容を的確に理解したり、わかりやすく説明できる能力が求められます。患者さんとのコミュニケーションは苦手だが同僚とはうまくやれる、一つの分野を深く追求したい、という方に向いています。
健診センター
会社の健診に利用される健診センターであれば、高齢者の多い一般病院の患者層とは違い、働いている若い世代の受診者さんがメイン。高齢者が苦手な方におすすめです。また、流れ作業のように検査をこなしていくので、深くかかわらずに済みます。患者さんとあまり深くかかわらず、淡々と業務をこなしたい方におすすめですよ。
パート勤務したいなら
子供が小さいうちは学校行事などにも対応しやすいように、パート勤務を希望する方も多いかと思います。
そして同じパート勤務でも以下の2パターンの考え方があると思います。
- 夫の扶養範囲内で働きたい
- パートでも社会保険に加入してもらって年金対策したい
どちらのパターンについてもご紹介しますね。
クリニックや小規模病院
クリニックや小規模病院からの求人は一定数あります。技師を正職員で必要としているところが少なく、パートでの求人が多いので、パート勤務希望の方にはおすすめです。
私が小さい内科クリニックで勤務していた時の働き方を例にご紹介しますね。
- メイン業務は腹部エコーなので勤務は午前中だけ
- 職員数が少ないので年収は130万以内
- 年収がオーバーしないように技師2人で交代制
- その分お互い学校行事などは融通をきかせて働く
こんな感じで働いていました。育児と仕事を無理なく両立しながら、技師としての職歴を継続できるのが大きなメリットでした。もちろん、これにピッタリ当てはまる職務形態が必ずあるとは限りませんが、小さいクリニックはアットホームで融通をきかせてくれるところも多いのが特徴。同じ子育て世代と協力しあって働きたい方におすすめです。
小規模健診センター
健診センターには色々と種類があります。会社に出向いて健診をする出張健診をしている施設には2パターンあります。
- 1つの部門でセンターでの健診と出張健診をしている
- 出張健診とセンターでの健診が別部門になっている
①のパターンは正職員の技師さんが早出や残業で両部門をまかなうので、パート希望者には向きません。
②のパターンでは、センター勤務はほぼ定時あがり、出張部門はパートでまかなう、という施設が多いようです。出張部門のパートさんは毎月出勤できる日時を提示してシフトを組んでもらい働きます。
そのため学校行事や年収の調節がしやすいのがメリット。エコー経験があれば喜ばれますが、心電図や採血業務だけでの需要もあります。色々なところに出かけて働くのを楽しめる方におすすめです。
企業が母体の健診センター
訪問介護など様々な医療サービスを提供する大きな企業の健診センターなら、従業員数が多いので、パートでも一定条件を満たせば社会保険に加入してもらえます。
一定条件というのは以下の通りです。
- 月収8.8万円以上
- 週の労働時間が20時間以上
- 見込み雇用期間が2か月以上
- 事業所の従業員数51人以上(2024年10月から)
詳しくは厚生労働省社会保険適用拡大特設サイトをご確認くださいね。
例えば、午前中の4時間だけ月曜日から金曜日まで働けば週20時間。または9時から17時まで(休憩1時間)1日7時間で週3日で21時間。時給が1100円以上なら4週間で月8.8万円になりますが、技師の時給で私が知る限りたいていは1200円以上が多いです。育児中はこんな感じで働きつつも、社会保険に入れてもらえるのはかなりのメリットです。
もちろん社会保険料を引かれず、扶養の範囲内で働くことも可能ですよ。
1つの分野を深く極めたいなら
臨床現場に限らず1つの分野を深く極めたいという方もいると思います。
胚培養士
不妊治療に欠かせない胚培養士。受精卵を管理するとても責任の重いお仕事ですが、その分やりがいもあります。
経験を積み、勉強することで資格を取ることも可能。集中力や注意力に自信のあるかたにおすすめです。
アプリケーションスペシャリスト
検査機器についてしっかり学び、顧客のニーズに合わせて機器を最大限使いやすくカスタマイズする能力が問われます。顧客や営業職とのコミュニケーション能力も必要です。日進月歩の医療機器の世界なので、勉強し続けるのが得意な方におすすめ。出張が多いので車の運転も必須です。
検査センター
検査センターでは血液などの検体検査がメイン業務になります。
血液だけでも生化学や免疫学などの知識や機器管理の知識が必要になります。
また、微生物や病理部門では認定臨床微生物検査技師やサイトスクリーナーの資格を取得することも可能。専門分野のスペシャリストになりたい方におすすめです。ただ、希望する部署に必ず配属してもらえるとは限らないので注意が必要です。
希望する転職を実現するには
色々な転職先があることはわかったけど、どうやって求人を見つければいいの?
転職先を探すなら、1番手っ取り早いのは転職サイトに登録することです。
書類選考の手間を省くために最初から条件の合った技師を紹介してくれる転職サイトにだけ求人を出す施設も多いのです。そしてもちろん、自分一人では条件に合った求人を探すのは大変ですが、転職サイトならさまざまな条件の求人情報があり、多くの転職事例を見てきたプロのエージェントさんが適切にマッチングしてくれます。
理想的な転職を実現するなら転職サイトを上手に利用するのが近道
でも、しつこく連絡してきたらどうしよう?
無理に面接させられたりしない?
では、転職サイトのメリットと、上手な利用法を簡単にご紹介しますね。
- 求職サイドは完全無料(求人側からの紹介料が利益なので)
- 多くの転職事例を見てきたプロのエージェントが条件の合う求人を紹介してくれる
- 転職先との連絡仲介をしてくれるので仕事中に自分で連絡などしなくてすむ
- 面接後でも合わないと思えば辞退の連絡をしてくれる
- 履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策をしてくれる
- 転職サイトは2つ登録する(情報量が増える・エージェントさんとの相性)
- 合わないと思ったら辞退すればよい
- 自分の条件をしっかり精査して伝えること
なかでも重要なのは、自分の条件をしっかり伝えることです。できるだけしっかり条件を伝えることで、希望にマッチした求人情報を提示してもらえるので。
転職サイトのエージェントさんは多くの事例を見てきた経験から、自分では考え付かないような柔軟な発想で求人を紹介してくれることもありますよ。
おすすめの転職先 まとめ
臨床検査技師の転職というと、求人が少なく難しい印象があるかもしれませんが、実はけっこうあります。もちろん地域差やタイミング、運も関係しますが、スキルアップできる職場もあるのです。
ただ、一人で探すのは至難の業。納得できる職場を見つけるには、転職サイトを利用するのが1番手っ取り早い方法です。
転職サイトへの登録は無料でほんの数分で完了します。悩んでいる暇がもったいないですよ。
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